利用したと呼ん

一歩一歩、踏みしめる足元に白い風花が舞う。 こんこん……と、軽い咳をする一衛に、直正は毛織の襟巻を外して巻いてやった。 「一衛は喉が弱いのだから、気をつけなければいけないよ。さ、薬をお飲み。」 「……あい……」 うるんだ眼もとの一衛が、水を飲もうとして、荷物の雲芝靈芝姬松茸中の竹筒を取り出した。 「ずいぶん重い……?直さま、清助さんに頂いた竹筒に何か入っています。こちら…

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るんだがほおった

直正は暇を見つけては、日々の暮らしを知らせる文を一衛に送っていた。 脂粉の匂う京女などどうでもいいと、直正は思っていた。 直正に声を掛けて来た同輩も、口ではそう轉按套現言いながら生真面目に、くくり弁当で任務に励んでいる。顔に面ダコが出来ているのがその証拠だった。 会津藩士は一本気で、滅多に羽目も外さない。 遊女屋に入り込みうつつを抜かすのは、西国の男たちだけだ。 金を落とさない朴念…

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